庭を美しく彩るクレマチスは、「つる植物の女王」とも呼ばれ、世界中で愛されている植物です。
その多様な花姿や豊富な花色、そして比較的育てやすい性質から、多くの園芸家や庭愛好家にとって魅力的な存在となっています。
この記事では、クレマチスとは一体どんな植物なのか、その基本的な情報をより深く掘り下げて解説していきます。
世界各地で呼ばれる名前や、その由来についてもご紹介します。
クレマチスの基本情報
- 分類
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キンポウゲ科クレマチス属
- 学名
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Clematis L.(L.は、分類学者のリンネを表す)
- 原産地
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世界各地(主に温帯地域)
- 花言葉
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「美しい心」「知性」「精神的な美しさ」「旅人の喜び」「策略」など
- 特徴
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- つる性植物(一部、木立性や半つる性の品種も含む)
- 多様な花色と花形
- 豊富な品種(約300種)
- 比較的耐寒性が高い(品種による)
クレマチスとはどんな植物?
クレマチスは、キンポウゲ科クレマチス属の植物で、つる性のものが多く、庭のフェンスやアーチなどに絡ませて楽しむことができます。花は美しく、色や形も様々で、園芸品種として多くの人に親しまれています。クレマチス属は、世界中に約300種が分布しており、日本にも数種類の野生種が自生しています。園芸品種として流通しているものは、これらの野生種を交配して作られたものがほとんどです。
語源
クレマチスの名前は、古代ギリシャ語の「κληματίς : clēmatís(つる性植物)」、「κλήμα : klḗma」(klema:クレーマ)に由来しています。
「klema」は「つる」や「小枝」「新芽」を意味し、この植物のつる性の特徴を反映しています。
クレマチスのつるは、他の植物や構造物に絡みついて成長する性質があるため、この名前が付けられました。
クレマチスの別名
クレマチスの別名は、その多様な品種と世界各地での親しまれ方を反映して、非常に豊かです。それぞれの名前には、植物の特徴、文化的な背景、人々の印象などが込められています。以下に、クレマチスの別名について、詳しくわかりやすくまとめました。
日本での名前
- 鉄線(テッセン)
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クレマチスの茎が細く丈夫で、針金のように見えることに由来します。特に、中国原産のクレマチス・フロリダ(テッセン)を指すことが多いです。
- 風車(カザグルマ)
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花の形が風車に似ていることから、この名がつきました。日本原産のクレマチス・ジャポニカ(カザグルマ)を指すことが多いです。
- 仙人草(センニンソウ)
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クレマチスの種子に付いている白い毛が、仙人の髭のように見えることに由来すると言われています。 クレマチス属全体を指す言葉として広く使われています。
- ボタンヅル (Clematis apiifolia)
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深く切れ込んだ葉がボタン(牡丹)の葉に似ていることから名付けられました。
- メ-ボタンヅル、コ-ボタンヅル (Clematis apiifolia var. bitnerata)
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ボタンヅルの変種で、葉がより細かく分かれています。
- キイセンニンソウ (Clematis uncinata var. ovatifolia)
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紀伊半島に自生するやや常緑性の種で、葉が革質で丸みを帯びています。
アメリカでの名前
- Leather flower
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クレマチスの花弁が革のように見えることに由来します。
- Vase vine
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北米産のクレマチス・ヴィオルナは花の形が花瓶に似ていることから、この名がつきました。
- Virgin’s bower
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聖母マリアの茂みという意味で、クレマチスの花が美しく、神聖な場所を飾るのにふさわしいことから、この名がついたと言われています。
その他、アディソンズ レザー フラワー (Clematis addisonii)、ホワイトヘアー レザー フラワー (Clematis albicoma)、パインヒヤシンス (Clematis baldwinii)など。
イギリスでの名前
- Traveller’s joy
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旅行者の喜びという意味で、クレマチスの花が旅人を癒すことから、この名がついたと言われています。これは薬草学者のジョン・ジェラードがイギリス原産のC. vitalbaのために考案した名前です。Clematis virginiana (= Virgin’s Bower)は、C. terniflora、C. virginiana、C. viticellaのことです。
- Old Man’s Beard
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クレマチスの種子についた綿毛が、老人の髭に似ていることから、この名がつきました。
中国での名前
- 鉄線蓮(テッセンレン)
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クレマチスの茎が細く丈夫で、針金のように見えることに由来しています。特に、中国原産のクレマチス・フロリダ(テッセン)を指すことが多いです。
- 威霊仙(イレイセン)
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クレマチスの根が薬用に使われていたことに由来しています。
- Clematis
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近年では、学名である”Clematis”をそのまま用いることも一般的です。
250以上の種と品種が知られており、その多くは原産地や特定の特徴にちなんで命名されています。
クレマチスの花言葉は、その多様な美しさと豊かな文化的な背景を反映し、さまざまな意味を持っています。以下に、クレマチスの花言葉を美しくまとめました。
クレマチスの花言葉:内面の美と多様な象徴
クレマチスの花言葉は、その美しい花姿だけでなく、植物の特性や文化的な背景に由来する多様な意味を持っています。
- 精神的な美しさ
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- クレマチスの花は、見る人の心を惹きつけ、精神的な豊かさを感じさせます。
- 細いツルから美しい花を咲かせる姿は、内面の美しさや精神的な強さを象徴します。
- 知性と創意工夫
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- クレマチスのツルが巧みに絡みつきながら成長する様子は、知性や創意工夫を連想させます。
- ヴィクトリア朝時代には、知的な人々への贈り物としてクレマチスが用いられました。
- 旅人の喜び
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- ヨーロッパでは、旅人を迎える宿の入り口によくクレマチスが咲き、旅人の安全を願うかのようだと考えられていました。
- 夏の道端でクレマチスの花を見かけることは、旅人にとっての喜びとなります。
- 道徳的な美しさ(日本の花言葉)
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- 日本の花言葉では、クレマチスは道徳的な美しさや正しい美しさを象徴します。
- 生け花の世界でも、クレマチスは清らかで凛とした美しさを表現するために用いられます。
- その他の意味
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- クレマチスの成長力や適応力から、「創造性」「独創性」「向上心」「回復力」といった意味も持ちます。
- 色によっても花言葉が異なり、紫色は高貴さ、白色は純粋さ、ピンク色は愛情、青色は知恵を象徴します。
注意点
- クレマチスの花言葉には、「策略」というネガティブな意味もあります。これは、クレマチスが有毒植物であることに由来します。
- クレマチスの原種である、テッセンには「甘い束縛」「縛り付ける」といった花言葉があります。
クレマチスを贈る際は、これらの花言葉を考慮し、贈る相手や場面にふさわしい花を選びましょう。
まとめ
クレマチスは、美しい花姿と多様な品種を持つつる性植物であり、世界中で愛されています。その名前の語源や花言葉、各国での呼び名を知ることで、さらに奥深い魅力を感じることができるでしょう。特に日本には独自の固有種が存在し、園芸文化の中でも重要な位置を占めています。