実炭疽病

実炭疽病(みたんそびょう)は、主に果実に発生する真菌性の病気で、果実表面に小さな黒点や凹みが現れるのが特徴です。放置すると斑点が拡大し、最終的には果実全体が腐敗することもあります。この病気は高湿度や気温が高い環境で発生しやすく、特に梅雨時期に注意が必要です。

実炭疽病とは?

実炭疽病は、真菌Colletotrichum spp. によって引き起こされる病害です。果実や葉に黒い斑点を生じさせ、進行すると組織が崩壊します。特に湿潤な気候で発生が顕著で、多くの果樹や野菜に影響を与えます。

症状

実炭疽病の初期症状は、果実の表面に現れる小さな黒い斑点です。この斑点は時間とともに拡大し、中心部が凹むことが多く、場合によっては周囲にピンク色の分生胞子が形成されることがあります。

実炭疽病の主な症状は以下の通りです:

果実の黒い斑点

果実に円形または不規則な黒い斑点が現れ、周囲が水浸状になります。進行すると果実全体が腐敗します。

葉や茎の病変

葉や茎にも黒い斑点が現れることがあり、重度の場合は組織が壊死します。

判断ポイント

果実の表面

小さな黒点が複数現れ始める。

進行後

斑点が広がり、凹凸や亀裂が発生する。

腐敗

斑点が拡大して果実が全体的に軟化し、腐敗臭がすることも。

葉や茎への影響

感染が進むと葉や茎にも影響を与えることがあり、葉には黄化した斑点や茶色い枯れた部分が現れ、茎が腐敗することもあります。

起きやすい原因

起きやすい環境

過湿

雨が多い時期や、土壌の水はけが悪い場所では病原菌が活発になります。

通気不足

果実が密生している状態では湿度が高くなり、感染リスクが高まります。

温暖な気候

20~30℃程度の温暖な気温で病原菌が繁殖しやすくなります。

起きやすい季節

梅雨と夏

湿気が高く、気温も上がるため病気が広がりやすい季節です。

気温が下がり始めても湿気が残る場合は注意が必要です。

対処方法

環境を変える

通気性の確保

果実が密集しないよう適切に剪定を行い、風通しを改善します。

排水対策

土壌の排水性を向上させ、根元に水が溜まらないようにします。

防湿

梅雨時期はビニールハウスや雨よけを活用し、果実が濡れる時間を減らすことが効果的です。

実炭疽病の原因菌は、収穫後の果実にも感染し続けるため、輸送中や保管中に果実が腐敗することがあります。これを「収穫後病害」と呼び、農業経済に深刻な影響を与えています。

生存率

実炭疽病は早期発見と適切な対処で被害を最小限に抑えることができます。

STEP
軽度(生存率80%)

初期段階で黒斑が数個のみの場合は、早急な対処で果実の多くが救えます。

STEP
中度(生存率50%)

斑点が広範囲に広がると、果実の損失が半分を超える可能性があります。

STEP
重度(生存率 30%以下)

果実全体に症状が現れると、救える部分がほとんどなくなります。

薬剤名

実炭疽病に有効な殺菌剤には以下のものがあります。

ジマンダイセン水和剤マンゼブ水和剤)

幅広い真菌性病害に効果的で、特に初期の防除に役立ちます。

リントフロアブル(トリフロキシストロビン水和剤)

病原菌の活動を抑え、病気の拡大を防ぎます。

スコア顆粒水和剤(ジフェノコナゾール水和液)

真菌の胞子形成を抑制し、再発リスクを低減します。

薬剤は使用方法を守り、定期的にローテーションすることで耐性菌の発生を防ぎます。

感染しやすい品種

実炭疽病は多くの果実に影響を及ぼしますが、特に以下の品種で注意が必要です。

果樹

ミカン、ブドウ、マンゴー、リンゴ

野菜

トマト、ピーマン

観賞植物

一部の観葉植物でも実がなる場合に感染することがあります。

実炭疽病に関するQ&A

実炭疽病とは何ですか?

実炭疽病は、真菌 Colletotrichum spp. によって引き起こされる植物病害で、果実や茎、葉に黒っぽい斑点や陥没した病変を引き起こします。この病害は果実の品質を大きく損ない、収穫量にも影響を与えるため、農作物にとって深刻な問題です。

どのようにして実炭疽病が広がるのですか?

実炭疽病の菌は、水の飛沫や風によって広がることが一般的です。特に高温多湿の環境で急速に繁殖します。さらに、感染した果実や落ち葉が地面に残っていると、そこから新たな感染源となります。

実炭疽病が起きやすい植物は何ですか?

下記の植物は病害のターゲットになりやすく、特に湿度が高い地域では注意が必要です。

果樹

マンゴー、パパイヤ、バナナ、イチゴ

野菜

トマト、ナス、ピーマン

実炭疽病を防ぐための予防策はありますか?

予防策としては、以下の方法があります:

  • 定期的に病害の初期症状を観察する。
  • 水はけの良い土壌を使用し、過湿を避ける。
  • 剪定や植え替えの際に清潔な器具を使用する。
  • 抵抗性のある品種を選ぶ。

実炭疽病に関する驚きの豆知識はありますか?

実炭疽病の菌は、非常に過酷な条件下でも生存できます。たとえば、感染源となる菌は乾燥した落ち葉や土壌中で数ヶ月間休眠状態に入ることができ、適した条件になると再び活性化します。このため、病害管理では「目に見えない敵」として厳重な衛生管理が必要です。

症状はどのようなものですか?

初期症状は小さな黒や茶色の斑点で、進行すると斑点が拡大し、果実が腐敗します。また、斑点の周りにピンク色の胞子の集合体が現れることもあります。

発生条件は?

実炭疽病は、高温(20~30℃)かつ湿度が80%以上の環境で発生しやすいです。特に雨が多い季節や、風通しが悪い環境でリスクが高まります。

どうやって他の病気と見分けますか?

他の病害と異なり、実炭疽病は果実表面に円形または楕円形の黒い斑点を形成します。進行するにつれて斑点がくぼみ、胞子塊が観察されるのが特徴です。

防除方法は?

農薬の使用

ベノミルやマンコゼブなどの殺菌剤を使用。

適切な管理

風通しを良くするための間引きや、病気に強い品種を選ぶ。

清潔な環境

落果や感染した植物を早めに取り除き、病原菌の拡散を防ぐ。

輪作

感染リスクを減らすため、同じ作物を同じ場所で連作しない。

食べても問題はないのですか?

感染した果実は腐敗して品質が低下しますが、人体に直接の健康被害を及ぼすことはありません。ただし、味や食感が悪くなるため、食用には適しません。

まとめ

実炭疽病は湿度の高い環境で果実を中心に発生し、放置すると収穫物に大きな損害を与えます。

早期の発見と適切な環境管理、薬剤の使用で被害を最小限に抑えることが可能です。

果実が密集しないよう剪定を行い、排水対策や通気性の確保を徹底しましょう。また、感染しやすい品種や時期を把握して、予防策を講じることが重要です。

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