緑かび病

緑かび病は、果実や野菜、貯蔵中の農作物に発生する真菌病害の一つです。特に湿度が高く、通気性の悪い環境下で発生しやすく、カビの繁殖による腐敗や品質劣化を引き起こします。早期対処が収穫物の保存と品質維持に不可欠です。

症状

主な症状

緑かび病に感染すると、以下のような症状が現れます:

表面の変色

果実や葉に緑色または灰緑色の粉状のカビが広がる。

腐敗

カビが増殖する部分が柔らかくなり、進行すると水っぽい腐敗が発生。

臭いの発生

腐敗が進むと特有の悪臭を伴う場合があります。

シワと乾燥

乾燥が進む環境では、カビに覆われた部分がシワ状になることもあります。

症状の判断ポイント

初期症状

白っぽい微粉状の斑点が現れる。

進行段階

緑色の粉状カビが繁殖し、腐敗が始まる。

重度症状

果実全体が腐敗して原型を留めない状態になる。

起きやすい原因

起きやすい環境

緑かび病の発生は、以下のような環境条件と深く関わっています:

高湿度

湿度が70%以上になるとカビが発生しやすい。

温暖な気温

20〜30℃程度の温暖な気温で真菌が急速に増殖。

通気不足

保管場所や周辺の空気循環が悪い場合、カビが発生しやすくなる。

不衛生な保管環境

使用済みの容器や汚染された器具が原因となることも多い。

起きやすい季節

梅雨や夏

湿度が高く、気温も真菌の繁殖に適しているため、発生が増加。

冬季

密閉された貯蔵環境で湿気がこもると発生する可能性がある。

対処方法

環境を変える

緑かび病を予防し、進行を止めるための効果的な方法:

湿度管理

保管場所の湿度を50〜60%以下に抑える。

温度管理

真菌の成長を抑えるために低温で保管(5〜10℃)。

通気性を改善

定期的に換気を行い、新鮮な空気を取り入れる。

清潔な保管環境

保管容器や器具を使用前に殺菌し、清潔に保つ。

生存率

症状の進行度と対処のタイミングによって生存率が異なります:

症状
軽度(生存率 85%)

果実や葉に小さな緑色の斑点が見られる段階。すぐに取り除けば対処可能。

症状
中度(生存率 50%)

緑色のカビが広範囲に広がり、一部が腐敗し始める状態。迅速な対処が必要。

症状
重度(生存率 20%)

果実全体が腐敗し、悪臭を放つ段階。救うのは困難。

薬剤名

緑かび病を抑えるために効果的な薬剤:

ロブラール水和剤(イプロジオン水和剤)

真菌性病害の防除に広く使われる。予防にも有効。

トップジンM(チオファネートメチル)

幅広い真菌に効果があり、長期間の効力を持つ殺菌剤。

ベンレート

果実や葉の表面に噴霧することでカビの繁殖を抑える。

感染しやすい品種

緑かび病が発生しやすい農作物の例:

柑橘類(特にミカンやレモン)

果皮が柔らかく湿気を吸いやすい。

ナシやリンゴ

保存中にカビが広がりやすい。

トマトやピーマン

湿った環境での保存時にカビが発生しやすい。

イモ類

サツマイモやジャガイモなど貯蔵中に高湿度が影響。

Q&A: 緑かび病について知っておくべきこと

緑かび病はどのように発生しますか?

緑かび病は主に湿度の高い環境で発生します。20〜30℃程度の温暖な気温と70%以上の湿度がカビの繁殖に適しており、通気性の悪い保管環境では急速に広がります。また、傷ついた果実や不衛生な器具を介して感染することもあります。

緑かび病と青かび病の違いは何ですか?

緑かび病はカビの色が緑色をしているのが特徴ですが、青かび病は青みがかった緑色をしており、感染する農作物や発生条件がやや異なります。緑かび病は特に柑橘類で多く見られますが、青かび病はリンゴやナシなどにも発生しやすい傾向があります。

緑かび病が広がる前に見分けるポイントは?

初期段階では、果実表面に白っぽい微粉状の斑点が現れます。その後、緑色の粉状カビが広がるため、早期発見が重要です。カビが見られた場合は、感染部位を切り取り、周辺の果実もチェックしましょう。

緑かび病を予防するための簡単な対策は?

湿度管理

貯蔵環境の湿度を50〜60%以下に保つ。

温度管理

保管温度を低めに設定(5〜10℃)。

清潔な保管

容器や器具を殺菌し、汚れやカビの付着を防ぐ。

果実の取り扱い

収穫時や保管時に果実を傷つけないよう注意する。

緑かび病が発生した場合、使用できる薬剤は?

ベンレートやイプロジオンなどの殺菌剤が効果的です。ただし、使用前に対象となる作物や使用方法を確認してください。予防的に噴霧することで被害を最小限に抑えることができます。

緑かび病に関する驚きの豆知識は?

緑かび病の原因菌は、ペニシリウム属の一部であり、抗生物質ペニシリンを生産する菌と近縁です。ただし、農作物への被害を引き起こす場合は有害であり、特に貯蔵環境で注意が必要です。

緑かび病に感染した果実は食べられますか?

感染部分を除去すれば、まだ食べられる場合がありますが、カビが内部まで広がっている可能性があるため、感染の程度をよく確認してください。特に、腐敗が進行した果実は健康被害のリスクがあるため避けるべきです。

緑かび病が感染しやすい農作物は?

柑橘類(特にミカン、レモン)、ナシ、リンゴ、トマト、ピーマンなどが感染しやすいです。特に果皮が傷ついている場合、感染リスクが高まります。

緑かび病は広がる速度が速いと聞きますが、本当ですか?

はい、本当です。湿度が高い環境では数時間で目に見えるカビが発生し、隣接する果実にも広がる可能性があります。早期の除去と適切な環境管理が不可欠です。

緑かび病の影響を最小限にする保存方法は?

個別包装で果実同士の接触を避け、通気性の良い容器で保管することが効果的です。また、除湿機や換気を活用して貯蔵環境を最適化することも推奨されます。

まとめ

緑かび病は、湿度や通気性などの環境要因が大きな影響を及ぼす病害です。

高湿度や温暖な気候で発生しやすく、農作物の品質を大きく損なう可能性があります。

適切な湿度管理や予防薬剤の使用、貯蔵環境の改善を行うことで被害を最小限に抑えることが可能です。

感染しやすい品種について注意し、早期発見と対応を心掛けましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!