灰色カビ病(ボトリチス症)

灰色カビ病(ボトリチス症)は、多肉植物の葉や茎に灰色のカビが生える病気です。高湿度と低温の環境で繁殖しやすく、早期発見と適切な治療が必要です。感染部位が急速に腐敗するため、こまめな観察と換気が予防のカギです。

症状

灰色カビ病(英名:Gray Mold)は、最初に葉や茎が黄ばみ、しおれたように見えるのが初期症状です。次第に植物表面に灰色のカビが広がり、病気が進行すると、以下のような症状が確認できます。

葉の変色

緑色だった葉が黄色く変色し、しなびた状態になります。感染が広がると、茶色に変色し腐敗が進行します。

茎や根の柔化

健康な根は白くて硬いですが、感染した根は黒っぽくなり、柔らかく崩れやすくなります。茎も同様に柔らかくなり、押すと簡単に傷つくようになります。

起きやすい原因

起きやすい環境

灰色カビ病は、高湿度と低温、通気不足の環境で発生しやすくなります。特に以下のような要因が引き金となりやすいです。

過湿

排水が不十分な鉢や、水はけの悪い土を使っている場合、根の周りが常に湿った状態になり、真菌が繁殖しやすくなります。

通気不足

室内や密閉された空間で育てていると、風が通らず湿度がこもりやすくなります。これにより、植物表面の水分が蒸発せず、病原菌が増殖しやすくなります。

起きやすい季節

灰色カビ病は、特に以下の季節にかかりやすいです。

梅雨や夏

湿度が高く、植物が湿気を吸収しすぎることで病気の発生リスクが上がります。

冬季

気温が低くなると、植物の成長が鈍化し、土中の水が滞留しやすくなります。このため、カビが発生しやすくなります。

対処方法

環境を変える

病気の広がりを防ぐためには、通気性を改善し、過湿を避ける環境に移すことが効果的です。

通気性のある場所に移動

屋外の風通しが良い場所や、窓辺に置くことで、湿気がこもらないようにします。

水やりの見直し

水やりの頻度を減らし、土がしっかりと乾いてから次の水やりを行うようにします。また、水が直接葉にかからないよう、土の表面にだけ与えるのが理想です。

過湿の防止

鉢底に穴を開けて排水性を高めたり、排水の良い土を使用することも有効です。

生存率

灰色カビ病に感染した多肉植物の生存率は、症状の進行度と対処のタイミングに大きく依存します。進行具合に応じた生存率は以下の通りです。

症状
軽度(生存率 85%)

感染初期に気付き、早期対策を行った場合。部分的な葉や茎の変色が見られる程度です。

症状
中度(生存率 50%)

葉や茎の複数箇所にカビが広がり始めているが、まだ対策が可能な状態です。

症状
重度(生存率 20%)

灰色カビが広範囲に広がり、植物全体が柔らかく腐敗している状態。回復が難しくなります。

薬剤名

灰色カビ病の進行を防ぐために、殺菌剤の使用が効果的です。以下の薬剤が広く使用されています。

ベンレート水和剤

広範囲の真菌に対して効果的な殺菌剤で、灰色カビ病にも有効です。

トップジンM水和剤

植物のカビ病予防に効果が高く、葉や茎にスプレーして使うことができます。

灰色カビ病についてのQ&A

灰色カビ病はどんな植物に発生しやすいですか?

灰色カビ病は幅広い植物に発生しますが、特に花卉植物、野菜、果樹などの柔らかい組織を持つ植物に多く見られます。バラやトマト、イチゴなどが代表的な被害を受けやすい植物です。

灰色カビ病の初期症状はどのようなものですか?

初期には葉や茎に小さな水浸状の斑点が現れることが多いです。その後、これらの斑点が徐々に拡大し、灰色がかったカビが発生します。進行すると、カビは植物全体に広がり、枯死することもあります。

灰色カビ病が発生する主な原因は何ですか?

主な原因は高湿度や風通しの悪さです。特に梅雨時や長期間の雨天などで湿度が高い状態が続くと、灰色カビ病が発生しやすくなります。また、傷ついた植物組織にカビが侵入しやすいため、適切な管理が求められます。

灰色カビ病はどのように拡散しますか?

灰色カビ病の原因菌である「Botrytis cinerea(ボトリティス・シネレア)」は、胞子を飛ばして広がります。これらの胞子は風や雨によって拡散され、近くの植物に付着すると感染が始まります。

灰色カビ病にかかった植物は回復できますか?

病気が軽度の場合、病変部分を早期に取り除き、適切な管理を行うことで植物が回復することがあります。ただし、重度の感染の場合は回復が難しく、被害を最小限に抑えるために病変のある部分を取り除くことが推奨されます。

灰色カビ病を予防するためのポイントは何ですか?

灰色カビ病を予防するためには、以下の対策が有効です。

風通しを確保する

植物の間隔を適切にとり、剪定を行って風通しを良くする。

水やりの工夫

葉に水が残らないように朝方に水やりをし、乾燥を促進する。

清潔な環境

枯れた葉や花を早めに取り除き、病原菌の温床を減らす。

灰色カビ病にはどんな薬剤が効果的ですか?

市販の殺菌剤である「ベンレート水和剤」や「カリグリーン」が効果的です。予防的に使用することで、感染のリスクを低減できます。使用する際は、指示された希釈濃度と散布方法を守ることが重要です。

灰色カビ病が与える植物以外への影響はありますか?

灰色カビ病は植物にのみ影響を与えますが、カビの胞子は空気中に存在し、人間がアレルギー反応を引き起こす場合もあります。特にアレルギー体質の人は、室内に病気にかかった植物を置かないようにするのが良いでしょう。

知っておくと便利な豆知識はありますか?

灰色カビ病の菌は、低温条件下でも生存できますが、乾燥状態には弱いです。そのため、定期的に風を通したり、適度に湿度を下げることが効果的な予防策となります。また、日中の光を適度に当てることも病気を抑制する要因となります。

まとめ

灰色カビ病は湿度の高い環境で発生しやすく、初期段階で対処することが重要です。風通しを確保し、適切な水やりで過湿を防ぐことで、感染リスクを軽減できます。また、殺菌剤の使用も効果的な対策です。こまめな観察と早期の対応で、多肉植物を健康に保ちましょう。

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