いもち病は稲を主に襲う真菌性の病気で、葉や茎に茶色の斑点を生じ、最終的に枯死させます。過湿や高湿度の環境で発生しやすく、放置すれば収穫量の大幅な減少を招きます。
症状
いもち病の初期症状は目立ちにくいものの、進行すると稲全体を侵します。
- 葉の斑点
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初期段階では、葉に水浸状の小さな斑点が現れます。これが時間とともに拡大し、縁が暗褐色、中央が灰白色の特徴的な病斑になります。
- 茎の腐敗
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病気が茎に進行すると、茎内部が腐敗し、植物全体が倒伏することがあります。
- 穂枯れ
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出穂後に感染すると、穂が黒くなり乾燥するため、収穫量が著しく低下します。
いもち病は他の病害と混同されやすいため、斑点の形状や広がり具合を確認することが重要です。
起きやすい原因
起きやすい環境
- 過湿
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水田の排水が悪い場合や長雨が続くと、いもち病の発生リスクが高まります。特に梅雨や台風シーズンは要注意です。
- 密植
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稲が密集していると通気性が悪化し、病原菌が繁殖しやすくなります。
- 肥料の過多
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窒素肥料の過剰使用は植物を弱らせ、病気に対する耐性を低下させます。
起きやすい季節
- 梅雨~夏季
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高湿度と温暖な気候が病原菌の繁殖を促進します。
- 台風後
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雨風による水田の水浸し状態が、病気を広げる原因となります。
対処方法
環境を変える
- 適切な水管理
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水田の排水を良くし、過湿状態を防ぎます。特に梅雨時期や長雨後は迅速に水を抜くことが重要です。
- 植え付けの間隔調整
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稲の間隔を適切に空けて、通気性を確保します。
- 窒素肥料の適量使用
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過剰施肥を避け、稲が病害に対抗できる体力を維持します。
生存率
初期段階で葉の一部に斑点が出た場合、迅速な対処で被害を抑えられます。
茎に腐敗が始まり、葉全体に病斑が広がると収穫量の半減が見込まれます。
穂枯れが進行し、稲が倒伏する段階ではほとんどの収穫が不可能になります。
薬剤名
- ベンレート
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広範囲の真菌に効果的で、特にいもち病の初期段階で使用が推奨されます。
- イプロベンホス
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いもち病専用の薬剤で、病斑拡大を防ぎます。
- トリフロキシストロビン
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新しい世代の薬剤で、葉や茎、穂への広範囲の防除効果があります。
感染しやすい品種
- コシヒカリ
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高品質な反面、病害に弱い傾向があります。
- ひとめぼれ
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密植されやすいため、湿度が高まると感染リスクが上昇します。
- あきたこまち
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冷涼地向け品種ながら、過湿環境では感染しやすいです。
まとめ
いもち病は稲作において最も被害が大きい病害の一つです。過湿や密植、過剰施肥などが主な原因となり、葉や茎、穂に特徴的な症状を引き起こします。適切な水管理や薬剤使用、そして品種選びが防除のカギとなります。特に梅雨や台風後には注意を払い、早期発見と対処を心がけましょう。
いもち病についてのQ&A
まとめ
いもち病は稲作において深刻な被害をもたらす病気です。高湿度や窒素過多が主な原因であり、風や雨を通じて簡単に広がります。
早期発見と適切な防除が収穫量を守るカギです。また、輪作や抵抗性品種の導入などの予防策を積極的に取り入れることで、発生リスクを大幅に低減できます。