そうか病は、主にジャガイモやサツマイモなどの作物に影響を及ぼす細菌性の病気で、根や茎、地下茎に病斑を形成します。この病気は収穫物の品質を著しく低下させ、市場価値を損ないますが、適切な管理で予防・対処が可能です。
症状
そうか病に感染すると、以下のような症状が見られます。
- 根や地下茎の病斑
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茎や地下茎にそうか状の粗い病斑が現れます。初期には小さな斑点から始まり、次第に拡大し、表面が荒れた状態になります。
- 葉の異常
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感染が進むと、葉の色が黄変し、葉がしおれて落ちることがあります。
判断ポイント
主に地下茎や根の表面を確認することで病気の有無を判断できます。特に、病斑が多数見られる場合は早急な対策が必要です。
起きやすい原因
起きやすい環境
- アルカリ性土壌
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そうか病菌(ストレプトマイセス属)は、アルカリ性の土壌で増殖しやすい特性があります。
- 乾燥気味の環境
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水分不足や土壌の乾燥が病原菌の活性を高める原因となります。
- 連作障害
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ジャガイモやサツマイモなどの連作により、土壌中の病原菌密度が高まります。
起きやすい季節
特に、春から秋の乾燥した時期に発生しやすい傾向があります。以下の季節ごとの発生状況を説明します。
- 春
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- 植え付け直後の成長期で、アルカリ性の土壌環境や乾燥が発生要因となることがあります。
- 土壌の温度が15~25℃程度になる時期に発生しやすいです。
- 夏
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高温・乾燥が進むと病原菌の活動が活発化し、発病が増加します。
- 秋
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乾燥気味の天候が続くと、成長後期の根菜に病斑が見られることがあります。収穫期に適した気温でも発生が見られることがあります。
梅雨や冬は発生しにくいですが、湿度の管理が不十分な場合には梅雨時にも注意が必要です。
対処方法
環境を変える
- 土壌の改良
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pH調整剤(硫黄など)を使用して、土壌を弱酸性(pH5.0~5.5)に調整します。
- 適度な水やり
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過度な乾燥を防ぎ、適切な水分を維持することで病原菌の増殖を抑制します。
- 輪作の実施
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病原菌の密度を下げるため、ジャガイモやサツマイモを数年間休ませる輪作が効果的です。
生存率
病斑が小さく、軽度な場合は治療により回復が見込まれます。
病斑が広がりつつある場合、適切な薬剤使用である程度抑制可能です。
地下茎が大部分病斑に覆われた場合、回復は困難です。
薬剤による対処
- アグリマイシン100(ストレプトマイシン水和剤)
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細菌性病害に効果的な抗生物質で、予防的散布により病気の拡大を抑えます。
- 石原フロンサイド粉剤
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そうか病をはじめとする土壌由来の病害を防除するために開発された農薬です。以下に特徴を簡単にまとめます。
- 作用機構
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病原菌が増殖する土壌環境を改善し、作物の健全な成長を助ける働きがあります。
- 有効成分
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石原フロンサイド粉剤には、土壌内の病原菌を抑制する特定の殺菌成分が含まれています。この成分は、作物に害を与えず病原菌の繁殖を抑えることに効果的です。
- 使用方法
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主に土壌処理に使用されます。播種や定植前に土に混ぜ込む、または水に溶かして土壌に散布する方法が一般的です。
- 適用作物
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ジャガイモや人参など、そうか病が発生しやすい作物に特に適しています。
感染しやすい品種
- ジャガイモ(デジレー、メークインなど)
- サツマイモ(ベニアズマ、コガネセンガン)
- ダイコン、ニンジン
豆知識
- そうか病菌は抗生物質を生成する能力を持ち、研究によってストレプトマイシンが発見されるきっかけとなりました。
- 日本はアルカリ性土壌が少ないため、世界的に見てもそうか病の発生が少ない国とされていますが、土壌改良を怠ると被害が拡大することがあります。
- そうか病は環境の影響が大きく、温度や湿度のわずかな変化で発生率が大きく変わります。
そうか病についてのQ&A
まとめ
そうか病は作物の品質に大きな影響を与えますが、アルカリ性土壌や乾燥環境を避け、輪作やpH調整を行うことで予防可能です。発症後も早期の薬剤散布が効果的な対策となります。品種選定や適切な土壌管理で、発生を最小限に抑えましょう。