カイガラムシ

カイガラムシは植物に付着して樹液を吸い取り、生育不良や病害を引き起こす害虫です。見た目が小さく目立たないため発見が遅れることが多いですが、適切な対処を行うことで被害を最小限に抑えることが可能です。

症状

カイガラムシの被害は、植物の健康状態に大きく影響を及ぼします。以下に具体的な症状を説明します。

葉の変色としおれ

被害部位

葉、茎

症状

葉が黄ばみ、元気を失ったようにしおれます。進行すると、枯れる場合もあります。

判断ポイント

葉の表面や裏面に白や褐色、黒っぽい小さな虫が付着している場合、カイガラムシの可能性があります。

樹液の漏出とすす病の発生

被害部位

茎、幹

症状

カイガラムシが樹液を吸う際に排泄物を残し、それがすす病を引き起こします。黒いカビ状の物質が植物表面に広がることがあります。

判断ポイント

植物表面がベタつき、黒ずんでいる場合は、すす病の兆候と考えられます。

成長の停滞

被害部位

全体

症状

栄養を吸収されるため、植物の成長が遅くなり、新芽が出にくくなることがあります。

判断ポイント

成長の勢いが突然止まった場合、害虫被害を疑いましょう。

起きやすい原因

起きやすい環境

カイガラムシが発生しやすい環境には以下のような特徴があります。

高湿度・通気不足

密閉された室内や、風通しが悪い庭では、カイガラムシが繁殖しやすくなります。

栄養過多の土壌

肥料を過剰に与えた場合、柔らかい新芽が多くなり、カイガラムシが付着しやすくなります。

起きやすい季節

春から初夏

気温が上がる時期はカイガラムシの繁殖が活発になります。

室内越冬中の冬

室内の観葉植物は、冬でもカイガラムシが活動することがあります。

対処方法

環境を変える

風通しを良くする

植物を適度に間引き、葉と葉の間に空間を作ることで繁殖を抑制します。

葉の掃除

ベタつきやカイガラムシの排泄物を濡れた布で丁寧に拭き取り、すす病の発生を防ぎます。

生存率

被害状況による植物の回復率は以下の通りです:

症状
軽度(生存率 90%)

カイガラムシが数匹付着。迅速に取り除けばほぼ回復可能です。

症状
中度(生存率 60%)

すす病が広がり始めた状態。薬剤処理が必要です。

症状
重度(生存率 30%)

葉や茎が黒ずんで広範囲に被害が拡大。植物の回復は難しくなります。

薬剤名

マシン油乳剤

カイガラムシの幼虫や卵を窒息死させる効果があります。

オルトランDX

吸収性殺虫剤で、植物全体に薬剤が行き渡り、隠れたカイガラムシにも有効です。

感染しやすい品種

カイガラムシは特定の植物に好発する傾向があります。以下は被害を受けやすい品種です。

観葉植物

ポトス、ゴムの木、アンスリウム

果樹

柑橘類、リンゴ、ブドウ

庭木

ツバキ、サザンカ

カイガラムシに関するQ&A

カイガラムシはどのように植物に害を与えるのですか?

カイガラムシは口針を植物の組織に刺し、樹液を吸うことで植物を弱らせます。その結果、葉が黄変し、成長が阻害されます。また、カイガラムシが分泌する「甘露」がすす病の原因となるほか、甘露の粘着性により植物が光合成をしにくくなります。

カイガラムシの分泌物「甘露」って何ですか?

甘露は、カイガラムシが樹液を吸った後に排泄する糖分を含む液体です。この甘露が葉や茎に付着すると、黒いすす病菌が繁殖し、植物の見た目だけでなく健康状態も悪化させます。

カイガラムシは冬でも活動しますか?

カイガラムシの活動は種類によりますが、多くの種類は低温でも休眠状態や幼虫状態で耐え忍びます。一部の温暖地域に生息する種類は、冬でも活動を続けることがあります。そのため、冬でも注意が必要です。

カイガラムシには天敵がいますか?

はい、カイガラムシには多くの天敵がいます。特に、テントウムシの幼虫や寄生バチが有名です。これらの天敵を活用することで、自然環境の中でカイガラムシの数を抑制できます。

カイガラムシが発生しやすい植物は?

果樹(オリーブ、柑橘類など)、観葉植物(モンステラやドラセナ)、庭木(ツツジ、アジサイなど)に特によく見られます。葉が密集していて風通しが悪い環境や、過湿状態の植物に発生しやすいです。

カイガラムシを駆除する際に、葉を拭くだけでは不十分ですか?

拭き取るのは初期段階では有効ですが、それだけでは卵や微小な個体を完全に取り除けない場合があります。植物全体を点検し、殺虫剤やアルコールを併用して徹底的に駆除するのが効果的です。

カイガラムシが植物に発生しやすい時期はいつですか?

春から秋にかけて、気温が温暖で湿度が高い時期に発生がピークを迎えます。特に新芽が成長する季節に注意が必要です。ただし、温室内や室内栽培の場合、季節を問わず発生することがあります。

カイガラムシに悩まされないための予防策は?

風通しの良い環境を作る

密植を避け、枝葉を適度に剪定する。

観察を怠らない

葉の裏や茎の根元を定期的にチェックする。

過剰な肥料を控える

特に窒素肥料を過剰に与えると、柔らかい新芽が好まれてカイガラムシが付きやすくなります。

自然の天敵を活用する

有機栽培では天敵を誘引する方法が推奨されます。

豆知識

  • カイガラムシの殻にはワックス成分が含まれており、耐水性が高いため一般的な殺虫剤では効きにくいことがあります。このため、特定の「浸透性殺虫剤」や、アルコールを使って物理的に除去する方法が効果的です。
  • カイガラムシが好む植物には独自の「吸着ポイント」があり、一度発生すると近くの植物にも移動するため、発見時は隣接する植物も確認するのが重要です。

まとめ

カイガラムシは植物の健康を大きく脅かしますが、早期発見と適切な管理で対処可能です。

発生原因を理解し、環境を整えることで予防につなげましょう。

また、薬剤や物理的な除去方法を併用して効果的に駆除してください。特に春から夏にかけては注意が必要です。

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