貯蔵病害

貯蔵病害は、収穫後の農産物や果物が貯蔵中にカビや細菌の影響で腐敗する病害です。適切な温湿度管理を怠ると、短期間で広がり、品質低下や経済的損失を招きます。

症状

貯蔵病害の症状はさまざまですが、主に以下のような兆候が見られます:

表面の腐敗や変色

外皮に黒や茶色の斑点が現れ、徐々に拡大して柔らかく腐る。

異臭の発生

腐敗した部位から特有の悪臭が漂う。

カビの発生

白、緑、黒などのカビが表面に繁殖し、周囲の物にも広がる。

内部腐敗

外見は正常でも、切った際に内部が黒く変色し、柔らかくなっている。

判断ポイント

外観だけでなく、内部の状態も確認することが重要です。初期段階では、表面の小さな変色やカビが症状の始まりを示すことが多いです。

起きやすい原因

起きやすい環境

貯蔵病害は、以下のような環境で発生しやすくなります:

高湿度

湿度が高い環境では、カビや細菌が活発に増殖します。

高温

適切な低温管理ができていない場合、病原菌の繁殖が促進されます。

不適切な貯蔵方法

通気性が悪い場所や、収穫物が密集している状態は病害を広げる原因となります。

収穫時の傷

果実や作物の表面に傷があると、病原菌が侵入しやすくなります。

起きやすい季節

貯蔵病害は以下の季節に特に発生しやすいです:

梅雨や夏

湿度が高く、気温も高い時期は病害が急速に広がるリスクがあります。

冬季

低温で管理されていない場合や、湿気がこもる場所では病害が発生することがあります。

対処方法

環境を変える

貯蔵病害を防ぐためには、適切な貯蔵環境の整備が必要です:

温度管理

収穫物に適した低温(5~10℃程度)を維持する。

湿度管理

湿度を60~70%に保つことで、病原菌の増殖を抑制できる。

通気性の確保

貯蔵施設に換気設備を導入し、空気の流れを良くする。

傷の防止

収穫作業中に果実や作物に傷をつけないよう注意する。

生存率

病害が発生した場合の生存率は以下のように異なります:

症状
軽度(生存率 80%)

表面のカビが一部に発生している段階。早期対応で腐敗の拡大を防止可能。

症状
中度(生存率 50%)

複数箇所に腐敗が広がり、異臭が感じられる段階。感染部分を切除することで一部救える場合あり。

症状
重度(生存率 20%以下)

全体が腐敗している場合、救出はほぼ不可能。廃棄が必要となる。

薬剤名

ベンレート

真菌に効果的な殺菌剤で、カビの繁殖を抑える。

ダコニール

広範囲な真菌に効果を持ち、予防的に使用可能。

感染しやすい品種

以下の品種は貯蔵病害に特に感染しやすいとされています:

リンゴ

湿度が高いと表面が腐敗しやすい。

ジャガイモ

傷がつくと内部から腐敗が進行する。

カボチャ

外皮が厚いが、内部腐敗が起こりやすい。

トマト

熟度が高いほど病害に弱くなる。

サツマイモ

低温障害で腐敗が促進されることが多い。

貯蔵病害についてのQ&A

貯蔵病害はどのような要因で発生しますか?

主な原因は高温多湿な環境や貯蔵物の傷です。これにより、カビや細菌が侵入しやすくなり、腐敗が始まります。湿度管理が特に重要です。

貯蔵病害が発生しやすい農産物は?

特に傷がつきやすいリンゴやジャガイモ、湿気に弱いサツマイモやカボチャなどが影響を受けやすいです。また、完熟したトマトは病害のリスクが高まります。

貯蔵病害を完全に防ぐ方法はありますか?

完全に防ぐのは難しいですが、低温・低湿環境を保つこと、傷ついた作物を除外すること、殺菌剤を適切に使用することが効果的です。

冷蔵庫で保存していれば貯蔵病害は起きませんか?

冷蔵庫内の温度管理が適切であればリスクは低くなりますが、湿度が高いとカビが発生する可能性があります。また、低温障害に弱い作物は腐敗が進むこともあります。

貯蔵中に発生するカビの種類にはどのようなものがありますか?

貯蔵病害の原因となるカビには、青カビ(Penicillium)や黒カビ(Aspergillus)、白カビ(Botrytis)などがあります。それぞれ好む条件が異なるため、総合的な環境管理が必要です。

貯蔵病害が周囲の作物に広がるスピードは?

高湿度環境では、1つの感染箇所が数日で周囲に広がることがあります。特にリンゴなどは、エチレンガスの影響で腐敗が加速する可能性があります。

傷がない作物でも貯蔵病害に感染することはありますか?

あります。表面に見えない微細な傷や、外皮が柔らかい品種は病原菌に感染する可能性があります。また、収穫時の汚染も影響します。

面白い豆知識はありますか?

リンゴは「エチレン」という天然ホルモンを放出し、このガスが他の果物や作物の成熟を早めることがあります。その結果、貯蔵病害が進行しやすくなるため、他の作物と一緒に保管するのは避けるべきです。

まとめ

貯蔵病害は、収穫後の作物に大きな被害をもたらす病害です。

適切な温湿度管理や通気性の確保、そして薬剤の活用で予防や対策が可能です。

特に早期発見と対処が重要で、病害が拡大する前に環境を整備し、感染した部分を速やかに処理することで損失を最小限に抑えることができます。

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