てんぐ巣病は、樹木や植物の枝葉に異常な密集成長を引き起こす病気です。
その名の通り、枝葉が「てんぐの巣」のように見えるのが特徴。
真菌や細菌、特定の寄生性植物が原因とされ、観賞用植物や果樹に大きな被害を与えることがあります。
症状
てんぐ巣病にかかると以下のような症状が現れます。
特徴的な症状
- 異常な枝葉の密集
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通常の枝葉に比べて短い間隔で枝が分岐し、葉が密集する状態になります。特に樹冠部に多く発生。
- 葉の変色や縮小
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病気の進行により葉が黄変、縮小し、正常な成長が阻害されます。
- 花や果実の異常形成
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開花や結実が不規則になる場合があり、実の収穫量に影響を与えることがあります。
- 茎や枝の硬化
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感染部分の枝が硬く変形し、通常の剪定では処理が難しくなることも。
症状の進行速度
- 症状の進行は比較的ゆっくりで、枝葉が密生していくのに数カ月〜数年かかる。
- 罹患部位が徐々に拡大し、樹形が変形していくが、急激に枯死することは少ない。
- 長期的な対策が求められる病気。
起きやすい原因
起きやすい環境
てんぐ巣病が発生しやすい環境について解説します。
- 湿潤環境
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特に湿度が高い梅雨時や雨が続く環境で菌が繁殖しやすいです。
- 通気不足
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密植された植物や、風通しの悪い場所では病気が広がりやすくなります。
- 傷ついた枝
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剪定不良や害虫による傷が病原菌の侵入経路となります。
起きやすい季節
- 梅雨や夏
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湿度が高い時期に菌が活性化しやすい。
- 冬季
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落葉後の剪定で処理不良があると越冬した病原菌が次の成長期に広がります。
対処方法
環境を変える
- 剪定を適切に行う
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症状のある枝を見つけ次第、感染部を根元から切り落とす。剪定後は器具を消毒する。
- 風通しを確保する
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密植を避け、枝葉が重ならないように間隔を空ける。
- 適切な栄養管理
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過剰な肥料は避け、健康な成長を促進する。
生存率
症状の進行度により、生存率は以下のように変化します。
症状が枝1本程度で、早期に剪定を行った場合。
枝数本に広がり、病原菌が広域に感染している場合。
樹冠全体に症状が広がり、全体の成長が停止している場合。
薬剤名
てんぐ巣病に効果のある薬剤について説明します。
- トップジンM
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真菌性の病気に広く使用される殺菌剤。剪定後の感染防止にも有効。
- エムダイファー水和剤(マンネブ水和剤)
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病気の初期段階で使用すると、進行を抑制する効果が高い。
感染しやすい品種
てんぐ巣病に感染しやすい植物をリスト化します。
- 果樹
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サクランボ、リンゴ、ナシ
- 観賞用樹木
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カエデ、サクラ、ツバキ
- 針葉樹
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マツ、ヒノキ
てんぐ巣病についてのQ&A
豆知識
てんぐ巣病が起きた植物の枝には、蜂や鳥が巣を作りやすいという観察例があります。これが自然界における病気の影響の一例として注目されています。また、感染した枝は薪として燃えやすく、山間部では一部活用例も報告されています。
まとめ
てんぐ巣病は、枝葉が異常に密集する特徴的な病気です。湿気や通気不足が原因で発生しやすいため、適切な剪定や環境管理が予防の鍵となります。
初期段階での発見と対処が重要で、症状が軽度であれば90%以上の回復が見込めます。
薬剤の活用や品種の特性を考慮した予防策を講じて、大切な植物を守りましょう。