早咲き大輪系は旧パテンス系と旧フォーチュン(Fortunei)系から構成されます。
パテンス系の栽培品種は、直接的または間接的に、主に C. patens から派生しました。
パテンス系は春に前年の枝に花を咲かせ、夏または初秋に今年の成長に再び花を咲かせるのが特徴でした。
旧フォーチュン(Fortunei)系(フロリダ(Florida)系とも呼ばれますが、C. floridaとは関係がない)は、前年の春の成長で開花する、八重または半八重の花を持つ品種で構成されていました。
交配により、元の系統を維持することが不可能になり、早咲き大輪系と遅咲き大輪系に分類する事になりました。
花について
大輪の花は、(5–)10–22(–29)cmの範囲内を指します。※カッコは誤差の範囲内
パテンス(C. patens)やラヌギノーサ(C. lanuginosa)の自然な花形(直径12~15cmの大きな花を上向きに咲かせる)に近い傾向があります。
早咲き大輪系に含まれる旧系統リスト
- パテンス系(patens)
- フォーチュン系(Fortunei)
パテンス系について
パテンス系のクレマチスは、日本、朝鮮半島、中国東北部から南部に自生していました。
日本では「風車(カザグルマ)」と呼ばれ、江戸時代にシーボルトやロバート・フォーチュンがヨーロッパに持ち帰ったことがきっかけで、ヨーロッパで品種改良が始まりました。
ヨーロッパで品種改良が進んだパテンス系の親種は日本の原種「カザグルマ」であり、「カザグルマ」と交配されたグループをパテンス系と分類しました。
現在では、他品種との交配が進み品種分類を維持できなくなってきた為、大輪で4月頃に咲く事から早咲き大輪系に分類されています。
大輪で華やかさを彩る女王にふさわしいクレマチスです。最も改良が進んでいる品種なので、様々な色から一重から八重まで好みの品種が見つけることができます。
殆どが一季咲きですが、剪定すれば秋も開花する四季咲き性の高い品種もあります。
日本が誇るクレマチスの原種の絶滅危機
江戸時代にシーボルトやロバート・フォーチュンが日本から「カザグルマ」をヨーロッパに持ち帰った事で、早咲き大輪系の育種が始まりました。
パテンスの特徴として変異が起きやすい為、「雪おこし」などのように八重に変異して派生した品種もあります。
「カザグルマ」は自生地でも生育地の破壊や園芸用の盗採などにより数が少なくなり、国は天然記念物、準絶滅危惧種の指定としました。
現在、貴重な自生地では人が立ち入らないよう保護されている場所もあります。
「カザグルマ」が日本の原種と世界に誇れるよう、自生地での盗採は絶対にやめましょう。
手入れ方法
春に前年の枝に花を咲かせるので、旧枝咲きです。
旧枝咲きなので、剪定方法は弱剪定です。